切れる代官山の愉快犯/詩集ただよう
 
凄惨極まる現場だった。ともから電話を受けて向かったときには既に門の辺りを警察や教師が占拠していた。周りを囲む人垣の年齢層は様々で、中には久々に見る顔もあった。二車線の道路の信号が赤から青に変わると、地方局のバンが矢継ぎ早に僕とともを追い越していった。

ピントが定まりきる前にわかった程、とにかく血が凄かった。そのうえ、状況がおかしかった。乾いて色は変わっていたがラフレシアのように血の臭いを放つ小屋中の壁面にはぱっと浮かぶ大抵の色が投げつけられポップに散らばりとらとらと蜜のように垂れていた。そこを指でなぞるようにして数人の男達が真剣な顔で話していた。他の男達は木扉近くに置かれたビニル袋に一羽一
[次のページ]
戻る   Point(1)