伝説の勇者/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
いつまでも俺の攻撃を受け続けてはいなかった。
 いつしかガードを固め、ウェービングで俺のパンチをかわし始めた。
「……くっ!」
 苦戦し始めた時にゴングが鳴った。
 青コーナーに戻るとセコンドが俺に命令する。
「いいか、足を使え。相手はロートルだ。必ず動きが鈍る」
 見覚えもないやつに命令される義理はない。
「何言ってんだお前。俺はもう帰るぞ」
 俺はとりあえず最寄の駅に行こうとした。
「バカヤロウ、何考えてんだ、戻って来い!」
 何考えてんだと言いたいのはこっちの方だ。
 しかし、ここがどこだかさっぱりわからない。
 仕方なく俺は周囲の様子から、車の通りが多そうな道の方を探して歩いた。
 やがて国道らしい道に出ると、タクシーを拾った。
「お客さんどこまで?」
「とりあえず、ここから一番近い駅のほうに向かってください」
 言った俺は安心すると、いつのまにか眠ってしまった。
 気がつくと、俺は誰かの声で起こされていた。
 
「伝説の勇者よ、さあ目を覚ますのだ」


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