涙の引き金は銃に限る/酸素の枷
『 お前を泣かしてやる 』
いや、まじで本当にどのように
背中に突き付けられた人差し指は
銃に変わるのか
グリグリ メリメリ
銃口をそんなに押し付けなくても
ここからは逃げられないし
逃げる気もない
立ってるだけじゃお気に召さない?
涙か〜
出ね〜な〜
いつから流してないだろう
あれは遠い遠い昔
なのかどうかそれさえも定かでなく
銃を突き付けられるまでは
気にもしていなかった
涙なんて
もう少し待って貰えます?
僕の中にある
ありったけの物語りを呼び起こして
悲しみなのか
感動なのか
いずれかの涙を流してみせます
でも、恥ずかしい話
実は物語りの数自体、少ないので
もし涙が流れない時は
気乗りはしないのですが
あなたの得意な恐怖の涙を
僕に与えて下さい
出来るだけお世話にならぬよう
頑張ります
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