若さと老い/パンの愛人
たまの休日に友人と会って話をしていても、近頃はすぐに「何か面白いことないの?」と、まるでそれが合言葉であるかのように、たがいの口からとびだしてくる。生活に刺激がないのは、環境が違えどみんなおなじで、潜在的な不満足感が、どこかに捌け口をもとめているのである。
会話の内容自体にもいくらか変化がみとめられる。以前は、じぶんたちの視野が直接とどく範囲内だけでも、充分すぎるほど話題は見つかったものだが、いまでは社会的な時事問題にも関心を広げなければならないほど、スキャンダルのとぼしい日常のなかにすっかり溶けこんでしまっている。のみならず、時事問題はとかく暗い話が多いものであるから、自然と会話は、生彩を
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