【詩とは何か祭り参加作品】 枯葉に満ちた山の向こうへ/紫音
 
色づく
  赤に
   茶に
    橙に
  モ
 ザ
      イ
    ク
 のように

やがて散りゆくことを知らず
絶える直前が美しいのだと
旅人は言ったとか言わないとか

追い立てるように
 風
  は
 吹

知らず気づかず時は駆け
やがて、は、もうすぐ、になり、いま、になる

時計の音は命を削り
きのう、きょう、あした
旅人は
 もう
  いない

指を立てても
風を感じることはできず
目を見開いても
散りゆく葉を見ることもできず
旅人の温もりは冷たく固く
美しさは儚さと同衾する


言ったことも言わなかっ
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