色鮮やかなパンジー/詩集ただよう
 
曇った二時過ぎの桁下二・五メートルと、ダックスフントを探してる電柱の辺りで思い切り転んで、夏になる前、厚着をしてるホームレスから目を反らしてふくらはぎを撫でた。傘、忘れてる。高架下を薄く照らした携帯電話は本当は誰でもよくて、本当にどうしようもないからやめた。しゃがんだまま、傘を置き忘れた店が閉まるまで飲んでいたぶどうスカッシュがやたらとおいしかったのを思い出していた。それは、多分、友達の朗報のせいだったんだろうとか考えていたら、実らない自分が悔しくて堪らなくなって携帯電話を思い切り投げた。撥ねっ返ってくる電池パックがせめて目に当たらないよう、僕は目を瞑った。

単音が大きく響いて、それでも目
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