尺/榊 慧
 
にこの幼さ特有の顔と体を見せるように振り向いてこちらから近寄り、上目遣いで男の目を見る。「あけて。」我ながら反吐が出るが仕方がない。男の前では最近すっかりこのキャラで通っているのだ。そしてまだ可愛げの残ってた時でもあった。幼いというのは最高のスパイスということである。男は散々俺のからだを擦ったあと、やっとドアを開けてくれた。大分前の話である。今では立派な不細工になってしまった。

                                
                                       了

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