翼をつくる/皆月 零胤
 
翼をつくる 明日のために
でもつい大きすぎるものにしてしまうから
空は飛べない
仕方ないのでそれをつけて歩いてみるが
人から笑われる

財布を開く 生活のために
ヒラヒラはすぐ羽を伸ばして飛んでいってしまい
ジャラジャラになって帰って来たと思ったら
そいつらもいつの間にかいなくなってしまう

世界は遠すぎても近すぎても見えない


誰にだって予定の時間というものがある
そんなことばかりしていたから
到底間に合いそうにはなかったが
歩いてゆくことにする
乗り物ではいけない場所だからだ

でも地に足がついていないせいか
風のようには上手くいかない
途中で出会った人たちが心配して言葉をくれる
するとそれだけ優しい気持ちになれる

今いる場所が何処なのかはわからないけど
ポケットの中で小さな虹色が育ってゆくのはわかる
大きくなったら誰かに分けてあげたいと思う
他の人が僕にそうしてくれたみたいに

最初から翼なんか要らなかった
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