風/さとう 星子
 
風の吹き荒ぶ
甘酸っぱい夏の終わりに
君は僕を好いた

君は
「付き合ってほしい、好きだから」
と、蒼い眼差しで僕に告げた

僕の心は光った
だけど
風はその思いさえも巻き込み
夜の海の波に消えた

やがて時が経ち
寂しげな春風が
僕の思いを君に告げた

沈黙は続き
ふたりの物語は
永遠に始まることのない終わりを迎えた

僕はそれから
ピンク色の涙を流し続けた
戻る   Point(1)