風/
さとう 星子
風の吹き荒ぶ
甘酸っぱい夏の終わりに
君は僕を好いた
君は
「付き合ってほしい、好きだから」
と、蒼い眼差しで僕に告げた
僕の心は光った
だけど
風はその思いさえも巻き込み
夜の海の波に消えた
やがて時が経ち
寂しげな春風が
僕の思いを君に告げた
沈黙は続き
ふたりの物語は
永遠に始まることのない終わりを迎えた
僕はそれから
ピンク色の涙を流し続けた
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