詩人のシノギ (薄田泣菫の巻)/みつべえ
の詩人、泣菫はいわば、その先輩といってよい。もっともコリン・ウィルソンが、肉体労働をしながら勉学に励んだのに対して、泣菫の方は親の仕送りに頼っていた。「スネかじり」である。詩集がヒットし有名になった後も、原稿料や印税だけで凌げるとは思えず、折りにつけ生家の援助があったであろう。
というわけでシノギは、「スネかじり」のち「新聞社勤務」かつ「随筆家」である。食うために詩を捨てたとは軽々に言えぬが、島崎藤村がそうであったように、かれもまた芸術と生活の相剋に懊悩したのかもしれない。
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