予感/mayaco
 
出会う直前のゆるやかな空気の中で
小さな振動に身体をゆだねる

日常の大きな振動は皮膚をかすめ
記憶の穴をすり抜ける

身体にしみ込む小さな振動
紛れもなく
理由もなく
一番深いところへたどり着く


出会う直前のあいまいな空気の中で
小さな振動がためらいがちに生まれる

別れの振動の余波が消えぬまに
記憶は予期せぬ展開をもたらす

視線が揺れる一瞬の振動
どこからともなく
そこはかとなく
一番深いところに映る残像


出会う直前
まだ別れを持たない振動が
私の中でざわめいている

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