夏へ/服部聖一
 
海を見ることもない日常と夏日がとぎれなく続き
あまりの終わりない暑さに
もうすぐ夏が終わってしまう
という感覚も続いた

季節は一日で変わることもある
どこかで聞いた言葉だが
ほんとうに一日で変わるものなのだ
朝起きたら
光りと空気が秋になるときがある
気温が37度とか 全くの夏日であっても

実際に この夏の終わりも
ヒグラシが秋を呼んでいるようにも思えたが
この夏いちばんの暑さであった

夏が終わってしまう という感覚が続いて 今年
何かを失った という喪失感にも似た思いで
夕方のサビ色の光りの中の街にいた

私は冷たいお茶など飲みながら
夏の名残のあるシーツを取り替えて
失ったかもしれない
夏のことば について考えている
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