潮騒を感じながら/紫音
 
寄せて返す
大きくも緩やかな

原初小さきモノを抱きつつ
命を生み出す揺り籠

寄せて返す
  ゆ〜
    ら
     ゆ
    ら

青く豊穣にして
冷たく冷厳とあり

泳ぎ乗りて
やがて飲み込み消えてゆく

全てを赦し
陽射しさえ緩し

上でサーファーは乗り包まれ
下で魚群が踊り囲み
 舌はそれを繋ぐ

断崖をも削る強さ
受け止めるしなやかさ



嵐に漕ぎ出した海人
戻る場所も帰る場所も
やがてたどり着く大地へ託し
 どんぶら
  ざっざっ



生まれ出でる前の
進化の過程
おさなきよわき命を生む
 胎内を抱きし強さよ



風はやがておさまり
静まりゆくそこに
ふたたび命の小波が

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