ソリ/詩集ただよう
 
ふとしたときに霞める奴の殺気は冷えたそれではなく、それはとても蒸し暑く、私のちょうど下唇から喉仏までの皮膚を後ろへとなじるようにして過ぎ去った
雨の上がった暗い路面にまるで絵の具のにじんだように乗せられる電子的なレッド、虚ろなエメラルド、透明なクリーム、不機嫌なホワイト
にじんだ先で溶け合うそれらの色に私が目を盗られているその最中、奴は何を思ったか、尋常であることを望んだか
感じると勘違うは同義なのだと奴は言う
ならばお前のその殺気すらも勘違いか
31℃のその湿り気も
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