てこの原理/コトリ
 
なにもたべずに、朝
あたらしい電車のはしっこからはしっこまで
わたしは仕事に出掛けていく
どんなに長い距離も
君のそれと交差することはもうないけれど

それでも駅に停車する度、未だ息が止まる
考えてたら、会えた
なんて
いくつも起こせた魔法は
期限切れだって、知ってる


離れた分だけ
てこの原理で持ち上げられたらいいなあ
君の人生に
光差すよう


力点で泣きながら祈るわたし
作用点、見えぬ君
支点はたぶんあの海だから
検討違いな力をぶつけてしまうよ
泣かせることさえもうできない

てこの原理
フレミングの左手
酸素のつくり方
退屈な科学の
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