シャボン玉の行方/セルフレーム
んだ、まだ赤子の兄を遠くから見ている。
とても、悲しい夢なのだ。
でも13歳になって、初めて思うことがあった。
会ったことの無い兄が、たまらなく愛おしいと思う時がある。
中学校に入ったというのに、兄に手紙を書いたら返事は返ってくるか、とか、
今生きていたらどんな事をしたんだろう、とか、
七夕の短冊に「兄に会いたい」と真面目に書こうか悩んだり、とか。
そんなことを思って最後に口ずさむ曲はやっぱり、
シャボン玉
だった。
唄い終わって辿り着く言葉は、
「此処にいる」
なのだ。
今こんな事を考えている僕の中に、きっと兄は笑って立っている。
シャボン玉 飛んだ
シャボン玉になれたらな。
屋根まで飛んだ
何処までも飛んでいけるだろう。
―ほらまた僕は、こんな事を考えている。
シャボン玉の行方
―シャボン玉、飛ばそ。
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