私はクッキーを焼きたい/さとう 星子
 
私はクッキーを焼きたい
できたての甘い匂い
サクサクの食感
それだけで幸せになってしまうような

自分の懐かしさを受け継がせるかのように
子供に甘いクッキーを食べさせてあげたい

それを食べている間だけは
どんなことでも忘れてしまえばいい
クッキーと一緒に飲み込んでしまえばいい

甘さの後にはちょっぴり苦い後味が残るけど
それもあなたのジンセイだから
 
私はクッキーを焼きたい
そんなちっちゃな思いが
こんな私を励ました





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