ガラスの陰/マイケル
樹よりも高いビルのガラスがあった。
光を反射して、空の雲を写していた。
Tシャツの内側で流れていた汗が止まって、
もし、このガラスがみんな割れてしまったらどうなるんだろう、と思った。
きらめくガラスの破片が降るんだろう?
そして路上は、
あらゆる方向に反射された輝きであふれるんだろう?
雑踏は血にまみれ、
凶器にきらめく地面の上を、
サンダルの人たちは動けなくなるんだろう。
アーミーブーツが必要だな
なんて事は、
スパルタ人みたいなサンダルを履くような女を尻目に思って。
ガラスがあって良かったなぁ、
って思ったんだ。
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