縁側の、した/長谷川智子
 



陽が直線に降り注ぐ、ある夏の日

蝉の声を聴きながら
ちいさかった私は、あるものを手に庭へ出た

さっと縁側の下をのぞき込んだが、まだ、いつもの場所にあの子は来てなかった

そしてガラスの小皿にのせたそれのはじっこは、はやくも溶けはじめていた

「あっ!」

ひっくりかえった小皿。
一瞬気をそらしたらこの有り様……



「ミャア...」

あ、来た☆

《ペロペロペロ...》

いつも万年日陰をあてにしてくるこの子が、やっぱり可愛い


戻る   Point(1)