溶ける海/フクロネヅミ
 
宇宙は水飴色です
ゆっくりと
ながく
湖(うみ)に似た時間の中で
シクリと微笑んで
星は甘い時間を漂っています
例えば恋人のこととか
例えば死んでしまったこととか
そうして
いつか忘れてしまって
ピカッ
と最後をとげるのです
命を歌ったアンタレスが
もうすぐ
命を忘れてしまいます
そうして
ぽっかり空いた部分に
シャトルがネオンを埋めるのです
宇宙は水飴色です
異物がぽつぽつ刺さる夜は
キラリと泣いて
ずっと遠くへ溢(こぼ)れていきます
例えば思い出話とか
誰もが忘れてしまった小さな過去を
そうして飴色な夜の底に
やさしく留めておきたいのです

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