「 電池 」 /
服部 剛
50を過ぎた看護婦さんが
休憩時間も惜しみ
寝たきり患者の爺さんに
パンを千切って食べさせる
勤務を終えた夕方
棚に書類をしまう
白衣の背中から
電池が一つ、ぽとんと落ちた
もう長いこと
一緒に働いてきた僕は
床に落ちたそれを拾って
「おつかれさん」と手渡した
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