ボン・シャンス/草野大悟
 

と、速攻で
きみが決めたのは
竹のカーテン

暑くて
暑くて
あんなに好きだった夏に、
車椅子にのって、
左手を思いっきり
ねじ曲げられて、
口から涎を
いっぱい流して、
左足も延びたまま
曲がらなくても
決めた
竹のカーテン



病院のスタッフに
何歳?
と、聞かれて
自信たっぷりに
二十歳
と、答えて
変な顔されても
みち

きみの
二十歳

ぼくの
二十歳なのだ。


ぼくには
どんなときでも
うまれたままの
きみがみえる。


ボン・シャンス

みち

もうひとつ
プレゼントが
あるんだ。

あの日
左手から消えた、
どんなときだってきみが
外さなかった指輪にかえて。





二つ目の結婚指輪







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