金魚鉢の中のせかい/湖月
 
空気を喉につまらせて
ぱくぱくと喘いだ
 
さらりとした風は
この喉につまるものと別物なのだろうか
何に喘ぐのかも解からずに
ただ この違和感を追い出したいだけ
右手で触れてみても
なんともないというのに

金魚鉢のなかの世界だと君は笑い
この気管には砂利が詰っているのだという

ゆらり 水草は揺れ
四肢を絡ませるわけもなく
掠るように、包むように、たゆたう

右手は 違和感を探し当てることなく
左手を求め 消えてしまったことを知る 
 
それでも
月に向かうときまでは あるように振舞う

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