めぐみ/黒子 恭
 
 
五月雨た空が悲しい日、
君は誰かに捨てられた猫のように
俺を求めてきた
 
都心のベッドで戯れて
埋まらない隙間に二人、
必死に何を詰めていたのだろうか
 
*
 
お前の一番にはなれないと吐いた唇で
君に溶ける
煙草を押し付けられた傷痕を舐める
少し苦い
 
思えば君はその時から
俺の目を見なくなった気がする
 
*
 
仕方の無い事があって
誰も悪者になれないから終わった関係は
今も五月になると
君よ、幸せであれと
願う男に
容赦なく降り注ぐ
 
*
 
めぐみ、
いつか俺は
お前を愛していたと
誰かに優しく
語るだろうから
それまでお前は
どこかの街で
笑っていてくれ
 
なあ、めぐみ。
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