嘘つき。/fuchsia
 
私には分からない。
どうやって怒ればいい。どうやって泣けばいい。
感情のまま表に出すと、人は嫌な顔をするだろうか、そう思えてまた嘘をつく。

優しい、人を思いやれるいい子だね、なんて言われても嬉しくない。
それは私の嘘の結果というだけなんだ。
私じゃない、でも、好意は嬉しいから、また嘘をつく。
嫌われたくないから、嘘で繋ぎとめる。
無意識に、咄嗟に、嘘をつく。

私は嘘でできているんじゃないかと、たまに思う。
自分なんて不安定なものは外側からしか固められないから、私は外側が嘘で包まれている。
中はドロドロの液状で、染み出す程度しか表には出ない。
でもそうしたのは私、そんなことは知ってる。
嘘でできた私が、好意をぶつけられたところで、答えるのは中身、ドロドロの。
そのくせ、嘘を壊すことは出来ない。

嘘つきは直らない、って教科書かな何かに書いてあった。
だから嘘はついちゃいけないって。

嘘は上手くなる、確実に。
気づいて欲しくても気づかれない、だって上手なんだもの。

嘘を壊せる、自分が、中身が、ほしい、です
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