松明の道 /服部 剛
 
背後にはいつも 
一本の松明(たいまつ)が
浮かんでいた 

朝も昼も夜さえも 
目には見えない 
松明の幻 

わたしが蹲る時 
横道に反れた時 
変わることなく 
目の前に
照らされていたひとすじの道 

この目はよく見えていると 
この耳はよく聞えていると 
思っていた 

手にした棒で 
足元を探るように日々を歩く 
盲者のわたしを 
こころある誰かが 
バス停の列の最後尾を 
知らせてくれるように 
そっと手を取り 
車内の座席に導くように 


傍らを吹きすぎる風の姿が見える 
耳元に囁く風の言葉が聞える 

振り返
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