神様お願い/紫音
神様お願い
ほつり祈ってから気づく
そんな神など信じていない
と
それは友人の名前を
交差点の真ん中で呼び間違えた時の
呆とした冷や汗
あるいは
言い訳の積み重ねで崩れてゆく
生の有り様か
ある日カラスが
グワッ ギャー
とゴミを漁りながら踊り
横を迷惑そうにブチ猫が振り返る
猫になりたい
と呟きもらす声は
カラスに調和して消えてゆく
存在の迷惑というほどに
誰かに何かを及ぼすでもなく
遠い空の向こうからぼんやり眺めるように
何かが誰かに届くでもなく
嗚呼、神は果たして自分であったか
信じられることも
在ることを認められるでもなく
無知無能の故に
であれば
もう一度祈ってみるのも悪くない
翼を
ください
どこまでも落ちて
ゆくために
空虚不信だからこそ
不在によって証明される浅はかな狂喜のために
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