キティのデザインハンカチ/りゅうのあくび
残像にある
夏の陽差しが萌える
ニッコウキスゲの
ように咲いている笑顔に
揺らめく胸のときめきは
信濃銀河鉄道の
レンガ色に敷かれたアーチ橋へと
遥かに架かる
真っ赤に錆びついた
レールの上に沿って
ずっと伸びてゆく
別荘を掃除する手伝いに
車で来ていた
休日の軽井沢で
ご当地でしか流通していない
キティのハンカチを
お土産にして
ほしいと頼まれて
軽井沢駅の南側にある
ショッピングモールを
彷徨ったあと
ようやく見つけ出して
手に入れることが出来たのだけど
綺麗に
たたまれているはずの
ハンカチのキティが
何だか頬を
引っ張るような声
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