通い道/見崎 光
 

遊び疲れて眠る夜
朝が待ち遠しくて
ぐっすり夢の中


時間を知らせる鐘の音と
“昨日”が明けたとさえずる小鳥
待っていた割には弱い寝起きを
困った顔で覗く太陽

『おはよう』は始まりの扉
とんぼがキラキラと瞳を誘う
日課と呼ぶほど大袈裟ではない身支度を
マイペースに済ませ
完全に起ききっていない体に
ご飯と味噌汁と目玉焼き

ニュースの片隅に刻まれる時間
分刻みに高鳴りを増す胸
ワクワクのベクトルが頂点を指す頃
フライングに笑いながら
靴を履き終えている


『いってきます』は冒険の扉
5分も掛からない場所を目指す
背中のランドセルで踊る鉛筆の音
勉強は嫌いだけど心地いい響き

上の空に黒板の文
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