Clematis/あすくれかおす
 
飛んでくるものは
ピタリと鳴き方を止めた
いつからか
呼ぶことをしない花の声

どこまで過ぎ去っていっても 
過去は形あるままで
いつからか
泣くことをやめた蝉の人


永遠という言葉は
広がっていく過程のことだった


鉄線の向こうに
輝かしい草原があるのだ
私はキラキラと
その光源にあてられて
覚え書きをしなくてはと
しどろもどろにポケットを探る


恥じらいは水彩であり
協調は油彩
アクリルが覚悟だと嘯くなら
キャンバスを無駄にしてしまうだろう


おぼつかない魂の主人である
私たちは
行こう
微かな光に向かって







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