まりあ像  /服部 剛
 
部屋から姿を消していた 

テーブルの上に残された 
細い花瓶を両手に部屋を出て 
何処に置こうかうろうろする 

ソファーにどっかり 
腰を下ろした園長が 
指をさした目線の先は 

静かに俯(うつむ)いて立つまりあ象 

足元に細い花瓶を 
そぅっと置いた  

新たな水にふたたび開いた 
ぐらじおらすの 
桃色のらっぱから 
すーっと昇る薫りに 

俯くまりあの顔が 
ほころんだ 







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