糧/縞田みやぎ
僕のてのひらがかわくのは
いつのまにかにぎっていた
小麦粉だか何だか の せいなのだ
先からかわくのは
知っていたが すこしずつこぼれて
もう手のひら分なので
それはいきていく糧には おおよそ
かかわりのないものなのだ
引き戸をかた かたとゆらし
鼓動している
ひもじくはないのだ僕は
ひもじいのではないのだ が
台所からはねらかされた水が
もう ここいらまでかかり
人々はいっそうの汗をかいて
うずたかく重なりはじめている
それはくちにいれられるものか と
むけられたのは
てのひらだったのか
くちびるだったのか
へそのおだったのか
息をするた
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