白線の上/蒼木りん
いまは
白線の上にいて
アスファルトのはずのあの灰色は
落ちたら
池みたいに
わたしを吸い込んでしまうんだろう
あるいは
どこまでも底のない空の上の
飛行機雲
突然途切れて
飛び込むしかない
道のない
何もすがるもののない空間に
ひとり歩き
どこまでも
ひとり歩き
後戻りして道を探すとか
助けを呼ぶとか
そんな頭はないから
白線でなかった白線を
ただの白線に戻して
アスファルトに落ちる
落ちていくはずのない舗装道
落ちざるを得ない灰色
そのときに見た
一瞬の蜃気楼
ガソリンの雨が降ったら
地球なんて
一瞬で燃え尽きてしまうだろうに
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