偽善者/海月
 
裏切りの表は優しさに満ちて
別れの言葉一つを並べて

彼女は泣いていた
理由はわからない
彼も泣いていた
理由はわからない

瞳の中から零れた雫
そっと手のひらの上に乗せた
ゆっくりと空へと消えていった

あのセリフは今も忘れていない

彼はそんな事を口にした

私は君の事を
      好きだ
俺は君の事を

彼女は笑った
彼氏も笑った

本当はどうだったのだろう

彼女の気持ちは本当だったのだろうか?
本当に彼女の言葉は本当なのだろうか?

少しの疑念が湧き上がる
源泉




[次のページ]
戻る   Point(0)