あねもね/梨玖
 
あいしている、と呟いた
掠れた声の、その言葉は音も無く
只、向こう際の空気に溶けた

貴方の其の目に映る 髪が
するり するりと 指先を掠めていく
今 あたしが此処で呼吸を止めたとしても
貴方はもうそのゆびさえ、伸ばしてくれない

繰り返す孤独を掻き消して 残ったものは全て廃棄してもいいから

ざらり、と乾いた喉から 辛うじて絞り出した声


あいして、います


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