Girls Barでの小さな吸血/りゅうのあくび
 
遠い街の空にふるえる
甘酸っぱい林檎の
かたちをした心臓は
銀色の影にふちどられ
微かに揺れていて
静かにガラスに映る
しなやかなアウトラインのなかで
切ない果実のように
弾力のある胸が
みずみずしく
白と黒の
モードデザインを着た
少し綺麗すぎる
バーテンダーの少女に
しっとりと
目配せをされ


ちょうど少女の
紅いルージュが
都会の喧騒を
ひきとめるように
終電の間際の時間帯に
Girls Barへと入り込む
やや真ん中にある
白い席へと誘われて
ちょうど血が
足りなくなっていたので
一杯のトマトジュースに
溶けている鉄分を
飲み干
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