椅子のある室内/縞田みやぎ
 
 


名刺を作ろうと 印刷の手順を踏んで
文字数が足りないことに気付く
そういえば表面もまったく足りない
どのあたりに 名前をかこうとしていたのか

木蓮は季節ではないので
紙のような花びらであったような気がしている
よく曲げておいた紙片の
くぐもる気配と 声

うつし絵 と エンジン

飲み物のあった 記録

台所の床に 水入れの容器が置いたままになっている
未だ開封されていないのは
その動物がもう死んでしまったからで
それはもう 四月も前のことになる

アスファルトのにおいを思い出そうと

今度 書棚を解く段には
花の話をしてあげようと思う
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