パノラミック/れつら
 
この日に
何度目覚めても良いことなんてないだろう


おぼろげに繋がった手足を
まばたきが裁断していく
畦道を歩きながら
すうと伸びた苗が風に傾れて
順々に光を浴びているのを見る
けれどもそのうちでいっこうに日のあたらぬもの
わたしの、影にいるのだ

ぬるく閉じた部屋に戻り
頬を摺り寄せては去ってゆく外人のような気流に
熱く焼けた瞼の裏のそこから眼神経を通り焼ききれそうな脳
微熱が続いている
サンダルの鼻緒が千切れてしまったことを右耳の上辺りに置きながら
蛇口を捻り
逆走できない水に手を突っ込む



フライパンのように煙をあげながらさめてゆけばいいのに
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