燃える虹について/大覚アキラ
 
虹が燃えているのを
ぼくは想像する
その思考と同じ速度で
閉じた瞼の奥で
火薬の匂いが湧きあがる
銀河の向こうがわで
死刑囚が馬鹿笑いする
光の届かない深海で
眠り姫が森を思い出して泣く
それらと全く同じ速度で
七色の焔が花弁のように
何度も何度も開いては閉じて
そうやって虹が燃えているのを
思い出としてではなく
確かめるように
調べ物をするように
記録するように
ぼくは想像する
あとは
水の流れた痕を探すだけだ
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