煙突掃除の少年 /
服部 剛
輪郭のゆがんだ
朧(おぼろ)月の見守る
灰色の夜の家々
屋根に置かれた
梯子(はしご)の頂に危うく腰かけ
襤褸(ぼろ)着を纏う煙突掃除の少年
ほっぺたを黒く汚したまま
月夜のひかりを浴びている
今にも溢れそうな憤りを
静かに閉じた唇に塞いで
独りの影を落とす
届くことない星空に
目一杯
幻の両腕をのばして
戻る
編
削
Point
(4)