ぽえかふぇにて /服部 剛
「武甲書店」に立ち寄った旅人と
キャベツの皮を剥くマスターが交わす
カウンター越しのささやかな会話
「 たった一言で、世界は
天国にも地獄にもなるよ 」
「 ある日職場でキラワレ者の
お局M子のわめき声に
ふっと立ち止まって
そっと耳を傾けたら
M子のこころに宿る
御堂の扉がゆっくり開いて
一本の蝋燭に揺れる炎に
ほとけの笑う目・鼻が浮かんでね 」
「 お局さんと君の間にあらわれる
ひだまり
が互いの顔を照らしたんだね 」
・・・そんな言葉を交しつつ
マスターは職人の面影で
今夜のお好み焼き晩餐会に備え
キャベツを とんとん 刻んでいます
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