だから渇いた時は水ばかり飲んでいる/エスカルラータ
俺たちは別れの約束とも指切りしてるんだ、って事。
手放したものたちの
手放した時に発光するレクイエムが
大理石に反射したステンドグラスの光みたいに、美しいものばっかりじゃない―それが、いつからか俺を臆病にさせちまった。
外見の美しさを見るたびに、それがいかにおのれの人生と関係のないものであるか値踏みして、値踏みしちまうんだよ。
「寄り添える言葉はあるかい?」「それはどんな響きを聴かせてくれるのかい?」…なんて勝手に手放さなくて済みそうなものの数を、お相手とおのれ自身に問うてしまうのさ。勝手に、勝手に。
なあ、いつから夏ってのは、こんなに――
気圧されたまぶしさの針が光る
そんな容赦ない季節になっちまったんだろうな?
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