涅槃/こんぺき13ごう
ふと気配を感じた。とろりとろりとしたみずあめの海の奥深く、おおきな生き物の影が、ちらと見えた。息が苦しい。水が欲しいな。いっそあれに捕食されてもいい。おおきな生き物はそんな思考を察してか、ゆっくりと近づいてきた。
サンキュー、神さま。
―――Y
沈みかけのコップにうつる死にそうな自分の目で目が覚めた。
360度水平線が見渡せたが、片目はしっかりみえなくなっていた。
シンクにとろけてしまいそうな意識のままおまえを切ってる感じ、
わかってくれとはいわないけど黙っていてほしくもない。
おまえってほんとうに使えない。
―――Y
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