文章表現をもっと自由に行いたいんだ/影山影司
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安静の道。苦渋の道。死活の道。とそれぞれ呼ばれている。
安静の道を進むと、先には魚のいない泉がある。泉の水には金属が溶け込んでいて、渇きに負けた者は安らかな眠りを迎える。苦渋の道を進むと、尖った砂利が散らばる道を歩かされる。よじ登る岸壁もまた、皮膚を掻き破るように細工されているのだ。体力も精神も消耗して血に伏せれば、苦渋に満ちた最後を迎える事となる。
死活の道とは、道であって道ではない。鉈で切り下ろしたような壁のことだ。強靱な体力で壁を登り切るか、力尽きて落下、死ぬか。
生き残れる道は安静の道と死活の道だが、死活の道を生き残った者だけがその世代の長となる。逞しく苦しみに負け
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