【 あなたのその手でどうか私を。】/三上あず
さあその手で優しく限りなく柔らかに私に永遠の眠りを与えて欲しい。
緩やかに訪れる悲しみに私は目を閉じるからその顔を最期に見るの
は貴方であって欲しい。咎人の私が赦されるのは貴方の優しさに触
れた時だけだけれど泣きたくなるのも貴方を愛おしいとこれ以上無
いほど思った時だけだということを忘れないで欲しい。切なさと悲し
みに暮れた貴方の其の瞳に私の顔が映るときに私の脳は溺れるの
か。失ったものを取り戻そうと必死に手を伸ばしても、一向に届く事
の無いそれは音を立てて逃げていく。許されないとは知っていたけ
れど最後だけ位は安らかに笑っていて欲しかった。悲しまないで愛
しい人。私の首を気管をその大きな掌で指で押し潰して欲しい。明
けない夜が在ると知っているなら待っていたりなんてしない。
大丈夫だと呟いて明白な正しさで私の全てを打ち消したなら、笑ってあげる事が出来る。
(明確な答えはその手の中に)
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