蟻塚/りゅうのあくび
 
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 昨夜は哀しい夜でした。それはもう蒸し暑くて。ひとりの老人のための美しく孤独な死が訪れていて月灯かりもありませんでした。ずいぶんと重い雲がたなびく夜でした。人を乗せた列車も走らない深夜に、貨物列車が珍しく走るサバンナには、線路が響いていました。そして、列車の線路の上で、ひとりの老人の体が遺書とともに横たわっているのでした。手は節くれになっていて、骨と皮だけになった顔には、しわがたくさんありました。老人はもう治らない病気にかかっていて、薬を飲んで治療することもやめていました。閉じられたまなざしは、天国にあるはずの夜空を飛んでいく鳥をじっと見つめているようでした。
 
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 大地には、
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