籠鳥の夏/梨玖
 
黒い鉄格子に身体を押し付け
晴れ過ぎた空を焦がれる、其の目に 痛みさえ覚える 
あぁ きっとそうだ

錆び付いた目を揺らし
此処から出れないと知り始めた
後は鳴くだけだと言って
目を閉じ声を枯らした 籠鳥の夏


鉄格子をかたり、と揺らして
黒いとも白いとも解らないほど、疲れきったそれを
もう一度、触れることが出来たら、どれだけ

ぱさり、と音を立てて崩れる瞬間を
どうして 見てはいられなかったの

呼吸を忘れて それでも生きると言うの
そうして飛ぶ術を どうして君は知らないの

錆び付いた目を揺らし
此処から出れないと知り始めた
後は眠るだけだと言って
最後に音を立てて崩れ落ちた  籠鳥の夏
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