ひとり宇宙/A道化
 




傍にいてもとってくれぬ夜に、
わたしの赤いあやとりが、ゆるり、たわむ。
想像の余地を失った惑星の軌道みたいに明確に、
ゆるり、
たわむ、
床に、


指の、
床にうずくまる微かな音。
それを無視して生い茂っている黒い配線、と、
その影の黒。
の、森で、
黒く遊ぶのはあなたの指と弦、


しゃあないやん、
小指から許さんと。
弦の為の、あなたの薬指を許さんと。
中指を、人差し指を、親指を許して、許したら目を閉じて、
目を閉じたら実在する指との赤いあやとりを捏造して、ほら、ららら、
惑星の軌道の愛らしい変遷を想像して、ひとり遊ぶしかないのだから、
ら、ら、ら、嫌がらせに指の無いあなたを描いてみたら、
欠けているのは、痛がっているわたしなのだから、


だから、ら、ら、
まずは掻き消してくれ。
指の、床にうずくまる微かな音を、いったん真っ黒に、
生まれたての宇宙みたいに、もっと真っ黒に、そこからなら、
ほら、ららら。
ひとり宇宙。


2008.6.22.
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