「 非常口 」/服部 剛
 
  出勤中の車で横切った 
  開店前のガラス越しに 
  一瞬 
  「非常口」へと駆け込む 
  緑のひとが見えた 

  長い間繰り返される凡庸な日々から 
  抜け出す「非常口」を探していたが 
  あのましろいドアは何処にも無くて 

  職場へと続く 
  人気(ひとけ)の無い一本道 
  アクセルを、踏み込む。 

  「今日という日」の道に 
  加速して入ってゆく 

  フロントガラスの前方の 
  ど真ん中へ
  まっすぐ伸びる道先に 
  あのましろいドアが 
  立っている 


緑のひと、駆け込んでゆく
 







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